日本の森林木材は、何故針葉樹なのか?

日本の生産性の森林木材は殆どが針葉樹です。
針葉樹は金額が比較的安く取引されます。
一方、量は多くはありませんが広葉樹も生産されています。
北海道のタモ材などはその代表です。
しかし、広葉樹は高価ですが産業としては振るわない様で廃業する傾向にあるようです。
国内では他の広葉樹の生産事例はあまりありません。
それでも数は多くはありませんが銘木店では扱っています。
天然林で伐採されたものが殆どです。

家具屋は殆どが広葉樹を使用します。
広葉樹は硬く、接合部となる仕口を作るにはしっかりした取り合いになるのです。
広葉樹は家具を作るのに都合が良いということです。
針葉樹は長さ方向に走る導管と言われる水を通すための管が束ねられた構造なのに対し、広葉樹は縦の繊維と横の繊維が組み合わされた強度の高い構造なのです。
針葉樹は横の繋がり力が小さい為に、小口に割れが生じやすくなります。
このようなことから家具屋は針葉樹を避け、広葉樹を好むのです。

木材市場では針葉樹は一般的・慣例的な価格帯で取引されます。
それに対し、広葉樹は入札により価格が決まります。
大木で良材な木材は驚くほど高い価格がつきます。

これを見て、『日本の林業は植樹する樹種を誤ったのではないか?』という疑問を発する方もいました。
市場価格が高い広葉樹を作るべきなのに、安くしか売れない針葉樹を山一面に植えたというのです。

この質問は市場を考慮に入れていないのでしょう。
大量生産のものはコストは下がるが、たまにしか生産されないものは高価になるということです。
倉庫に余るほど在庫があると売り手は安くでも売ってしまいたい、取り合いするほど少ないものは買い手としたら人より多く金を出してでも欲しいということです。
広葉樹であっても、市場に余ればたたき売りになるでしょう。

日本の生産森林が針葉樹でなければならないことには理由があるのです。
木材の需要の主は建築材にあります。
この建築材としての木材を効率よく大量に供給できるのは針葉樹だっということです。

檜、杉、松類などどれも主幹が真っ直ぐに且つ一本の樹形です。
それに対し、広葉樹は主幹が湾曲して分岐、どれが主幹かも分からなくなる樹形です。

真っ直ぐな長尺の材料を取るには針葉樹が適しているのです。

これが生産森林木が針葉樹である理由です。