『違法伐採木材』を使わない

『違法伐採木材の殆どを日本人が買っている』という報告はもう30年ほど前からあった。
当時、日本人の殆どはそんな事情を知らずに熱帯雨林から産する木材を購入していた。

日本人の環境に関する意識は非常に低かった。
そして現在も呆れるほどに低い。
今、再び熱帯材が市場に流通していて、それが違法伐採であるとのことが時々ニュースになっている。
東南アジアから入ってくる殆どの木材が違法伐採であるという事実がある。
『現地政府が承認した木材は合法材。流通木材全体の15%ほどが合法材』
例えばインドネシアでは無政府地帯と言われる地域が存在しており、ライフル銃で武装した組織が政府の立ち入りを拒み、森林伐採を支配しているのだ。
当然、持続的な森林管理にはならない。

熱帯地域の森林は『地球の肺』とも言われ、地球上の大部分の酸素供給を行っていると共に、二酸化炭素の吸収を行っていることで知られている。
落ち葉や植物遺体などのバイオマス層は、新たに萌芽する植物のゆりかごなのだが、熱帯林はバイオマスの分解速度が速く、土壌には薄いバイオマス層しか存在しない。
一度 伐採によって地面が更地になると強い日差しと高温のためにバイオマス層が消滅し、森林が再生できる地面ではなくなってしまう。
『森林破壊によってオランウータンが絶滅に瀕している』ということが時々聞かれる。
このことは生物多様性が崩壊している現実をも露わにしている。
熱帯雨林は更に日々刻々と縮小し続けている。

日本において熱帯材を購入するのは企業だ。
その売り込みに『少しなら良いだろう』という考えで一部の行政までもが導入している。
つい先ごろも札幌でもある有名ホテルが自社の施設を作るために大量の熱帯材を導入しようとしていた。
合法材の証明が取れないのではないかと業者に質問してみたが、
『市場に出回っているものを買って何が悪い?』という。
市場に出回っているものの中には違法なものは当然ある。
誰でも知っている筈だ。
日本政府の指針では『合法材の証明書』を取ることになっている。
トレーサビリティーを調査し、合法材であることを確認しなければならない。

心無い『企業の金儲け』のために地球上のある地域が破壊されている。
事業者よ、主観的な事業のために人類の持続可能性を台無しにしていいのか?

合法性が疑われる物資について、トレーサビリティーにより『合法である』という確認を取らずに購入を行うこと。
このような事例は取り扱った業者の責任ということだけに留まらず、当然に事業主の責任でもある。
市民は地域の概念から事業者のステイクホルダーである。
我々は理念と倫理を学び、企業への働きかけも必要だと考える。