鉢底石の必要性は水を水を外に流し出し、排水するためだと考えがちです。
しかし、排水は手段であって目的ではありません。
植物が健常に育つためにはそのための条件が必要です。
日光、大気、水と用土が必要です。
小学校の理科の時間を再現した内容に思えるかもしれません。
しかし、これだけでは育ちません。
これらの三つが合成された有機物が必要になります。
有機物は栄養分とか肥料とか、部分的にはビタミンであったりします。
これらの有機物は植物がそれ自体で作り出すことは出来ません。
前の時間に枯れた植物の本体が細菌により分解されて中間副産物が生成されます。 その中間副産物がさらに異なる細菌によって分解されてまた異なる中間副産物が出来ます。
これが繰り返されて植物が利用できる栄養分になるのです。
植物が利用できる中間副産物を生成する細菌を共生菌とします。
植物が養分を吸収する器官は根にあります。
植物はこの共生菌が存在するところを求めて根を伸ばします。
これらの菌が効率良く活動するためには高いエネルギー変換ができる酸素が必要になります。
酸素が化学結合するときに出すエネルギーを利用する代謝が好気です。
酸素以外のエネルギーを使用するものは嫌気ですが、これらは高い熱量が得られません。
分解の効率は好気の5%くらいと言われています。
ここまでをまとめると、植物が健常に育つためには栄養分を効率良く供給してくれる好気性細菌が必要になるのです。
好気性細菌が必要とするのは酸素です。
好気性菌にとっては大気にある酸素を活動できる土壌中に届けてもらえる仕組みが必要になります。
土壌の団粒構造は排水を促し用土を乾燥させます。
それによる通気性の向上は酸素を土中に運ぶ仕組みになるのです。
プランターや植木鉢は用土の重さを支えたり、漏れ出すことを防ぐために、結果として通気性に不都合なのです。
製造上の効率やコストダウンは機能の向上にとって正反対に向いてしまいがちです。
劣悪な土壌環境を少しでも良い方向にするためには鉢底石は有効です。
鉢に与えられた水は引力によって鉢底方向に向かいます。
鉢底に届いた水の横に向かう流力は縦方向に比べると非常に小さいのです。
鉢底石があると水平方向へ動きやすく排水の効率が高くなります。
直接的な好気ということでは鉢底用土が大気に触れる表面積を大きくする効果があります。
結果として鉢底石の上にある用土の活性化を高める効果があるのです。
ですから、鉢底石はあった方が良いということになります。
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