フラワーベッド・コンテナ(Flowerbed Container)

プランター、大型、木製

フラワーベッド・ベース(Flowerbed Base)のアイテムの一つ、フラワーベッド・コンテナについて説明します。
製品名、開発の経緯、機能、特徴、メリットについて記述していきます。

【フラワーベッド・コンテナとは?】
フラワーベッド・コンテナは草花や花木を植え付けて育てられるようにした木製の容器です。
この中に育成用の土、つまり用土を入れ、草花や花木を植え付けます。
草花とコンテナは一体の植栽としてフラワーベッド(花壇)となります。
コンテナには底板が付いているため、用土を入れたままの植栽として移動が可能です。

【開発の経緯】
フラワーベッド・コンテナは街中に植栽をつくることを目的に開発されました。
街の中の多くはアスファルトに覆われ、植物が繁茂する環境ではありません。
そこで用土と保水性、植物が育つ環境をつくることが行われます。
プランターがつくられたのはその始まりでした。
その後、時代と共に環境の考え方が変化し、植栽に求められる期待も変わってきました。
どの様にプランターからフラワーベッド・コンテナへの進化があったのかを製品種で見ることができます。

プランターに求められたもの
『殺風景な環境に、草花や樹木を共存する環境をつくる必要がある』という考えから考案されたのがプランターです。
しかしこのプランターはプラスチックで作られることが多く、情緒を作り出すのは難しく、場合によっては景観を壊してしまう場面が少なくありませんでした。

木製プランターに求められたもの
そこで、『景観を情緒的にする』ことを求めて作られたのが木製プランターでした。
木製プランターは景観の改善には成功しました。次の課題は耐久性でした。
多くの人は木製品は屋外で使用すると3年ほどしか持たないと言います。
木材という素材をひっくるめて耐久性がないという認識を持っているのです。
しかし、実際は耐久性の小さい樹種もあれば、非常に耐久性の高い樹種もあるのです。
木製品を作る場合、その目的に見合った樹種・木質を選択することが重要なのです。

フラワーベッド・コンテナに求められるもの
耐久性を向上させるために三つの方法を取り入れました。
耐久性のある素材、構造、使い方です。
1.木質素材には、最も水湿に強い木であるヒノキアスナロ材を取り入れました。
2.構造の部分として、水はけよく通気性に優れ、木部の乾燥を促し腐食しにくいものとしています。
3.木部の弱点となる部位を保護する木使いを行い、小口部は特に、紫外線、雨水から保護する。
これらにより『屋外で長く使える』フラワーベッド・コンテナが完成しました。

【機能】
フラワーベッド・コンテナはプランターの優れている機能を全て叶えています。
つまり、草花や樹木を植栽すること、移動できる機能を備え、更に移動しやすくしています。
付け加えて、日本固有の樹木で作ることにより、景観に情緒を与える機能が付加されます。
木質から得られる感情は温かく、人との親和性が高くなります。
コンテナに合わせた寸法の用土バッグを標準装備にして使いやすさを向上させました。
部品交換なのどの補修も可能でありメンテナンス性にも優れています。
大型の製品は台車やフォークリフトで移動することも可能にしています。。

メリット
フラワーベッド・コンテナの素材は国産木材のヒノキアスナロ材です。
造林・育林は択伐(たくばつ)方式です。
(日本の多くの林業は一斉に全ての木を切り倒す皆伐を行う)
択伐は大きく育った伐採敵機の樹木のみを選択して伐採する方法です。
切り取った後の空間には新たな樹木を育て、再生する環境、循環システムを作ります。

デメリット
素材の原価と製造工程が他の素材よりもコストがかかるため、従来型の大量生産品と較べるとコスト高な製品と映るかもしれません。
木質は資源も一様ではなく、量産に適したプラスチックなどとは異なり、大量生産ができません。
木部には耐久性を加味して適した樹種を選定して採用しています。
デザインや構造を叶えるための設計の考え方を重視し、歩留まりをできる限り設計に合わせて製作を行いますが価格競争には適していません。
これらのことから、製品としての性能は優れていますが、価格は割高になっています。
しかし、花々のある環境づくり、街づくりの効果、景観の情緒、景観的耐久性を考えると初期費用だけでは較べられない価値を持った製品になります。

屋外使いの木製品の常識

ベンチ,デザイン

木製品は屋外使用で室内使用よりもはるかに早く劣化します。
この劣化をいかに小さくするか、ということが木製品を長く使えるようにするポイントです。

実は、この方法について現在のあらゆる木工品製造者や製作に携わる職人は無視しています。
何時の時代からなのか、壊れたらまた新しいものを作ればいい、入手すればいいという思考が時代の幅を利かせ、作り手もこの考え方に最適化してしまっているからです。

そのため、木製品は価値のないものへのシフトが進み、どうせ壊れたり腐食するから、そうしたらまた新たに… となるわけです。

木工職人も長持ちする研究ができません。経済が伴わないからそんなことをやったら自らの利益が減ってしまうのですから。
20世紀後半には、壊れないものを作る商売は上手くいかないという商売人の話がありました。
壊れないものをつくる製造メーカーは、その製品が世間に行き渡ると新たに購入してくれるユーザーが居なくなるからということです。
確かに過去から現在迄の経済の面から見れば理屈 通りだと思います。

皆様もそういう理屈を聞くと『その通りだ!』と思うでしょうか?
『本音と立前で考えろ』と思うでしょうか。
その点、私は馬鹿者で『そんなことするのは正しくない』と思ったものです。
その様な理論があったとしても、長持ちするものを作りたいと思うのがモノづくり屋だと思うのです。
商売が上手くいかなくなるとしても、それとは切り離して良いものを作り残したいですね。

屋外木使いのことで京都 清水寺の大舞台は興味深いです。
大舞台は建築物というよりも構造物です。建築物は屋根があり、構造部はそれに覆われ雨を凌ぎます。
対して構造物は構造部分が風雨に晒されるという作りになっています。
この様な構造物では真面目に朽ちなく、長く使える工夫が施されています。
『なにもそこまでっ』と思われることも設計者や職人が真摯に実行しています。
例えば、大スパンが必要な長い部材にはそれに適した素材として杉材なのですが、重要な構造部分の素材は留め強度に優れる上に腐れにくいケヤキを使用しています。
その構造部の仕口部分にはその一つひとつに庇(ひさし)が設けられているのです。
仕口は水分の吸湿 膨張に耐える様に遊びが設けられています。
この考え方は建築や家具の作りに殆ど見受けられません。
私も屋外用木製品をデザインしたりする場合、特に屋外用の木製ベンチの仕口の方法は深く考えさせられます。
屋外構造物の経験値のない家具屋に見せればブカブカの仕口は笑われますが、家具屋が作った製品は屋外でバラバラに壊れます。

屋外用の構造物やエクステリアを高度に作る技術はあまり引き継がれたり、認知されていません。
そういった技術を発見、発明することもSITECの存在 意義と考えます。