風景に木質はありますか?

最近の都市開発では木質が非常に少ないと感じます。
金属やプラスチックの単調な質感がスマートだと言わんばかりに露出されています。
『そこは木質で!』というような要望が出そうなところでは、木質に似せたプラスチックやアルミニウム素材の建材に代用されています。
ここ数年の傾向では、『いかにも木質に見えるだろう!?』と主張する素材はあまりないのかな?
木質に似せたところでそっくりにすることはできないので、「木質のデザイン感だけを頂いちゃおう!」という感じでしょうか。プリントした壁紙みたいな感じ。
他の材で作ったら『高価になるからここは木質で¥』という考え方もあります。こういった場合SPF材を使用するのですが、このとき木質は軽く見られているのでしょう。土木の現場などで使用される仮設材は木質が使用されます。大体は使い捨てで便利に使われているなと思うほどに。それでも強度や軽さ、加工性を省みてみると他の材料には絶対に真似できない特徴があるのが見えてきます。

都市ではこんなものばかりが目について、木質がかわいそうです。
木質は人間に最も近い存在です。
進化の中で人間になる以前、獣であった時期から抱かれて、寄り添い、触れ合ってきたもので無意識の安心感があります。
思考では理解できないものです。

風景を見て感受性を表す『情緒』という言葉があります。
この情緒を感じる要素には、風景の『風化』があります。
石には苔が生え、鉄は錆び、木質は優しくなり親和性が増す。
そうなるには時間の経過が必要なのですが。
このような『風化』を考慮している素材が現在の都市開発に見つかるだろうか?