食品の素材の調達、調理の履歴をトレースできるようにすることは食肉産地偽装事件などを経て、必要性が求められてきた経緯があります。
しかし、本当に消費者が求める情報が入っているかどうか。
その情報は本当に正確なのかということは、ただ信じるしかないのでしょう。
最近は大企業の間では当たり前となっているコンプライアンスの厳守ということへの課題は現在もごく当たり前に残っています。
例えば、ここ1、2週間のニュースで目にしたものでは、原油販売大手が有鉛ガソリンのトレーサビリィーと品質を消費者に誤魔化していたことや、大手造園会社などが従業員の経験値を偽装して国家資格を取得し続けていたことなど、やはりトレーサビリティーから派生した問題が明るみに出ています。
これらは意図的に行ったとも考えられることからコンプライアンスに関わる違反です。
立派なCSR白書などは一体何のためにあるのでしょうか。
上記の例とは裏腹に意図せずに倫理的行動に反する行為ということも多い様に思います。
例えば、都市を魅力的にしたいという思いから港湾に木製デッキを敷いたということもそれに該当します。
日本の国や地方行政が耐久性がある素材を求めて南洋の熱帯雨林から産する木材を使用した場合です。
熱帯雨林が破壊され、それを使用することがさらに状況を悪化させるということを知らずに多くの熱帯材を導入して事業を行なっていました。
海外からの指摘やバッシングが発生してからデベロッパーは気づいたのです。
その後は、熱帯材には問題があるからと、木材の代わりにプラスチックを使用して事業を行います。
複合プラスチックやFRPなどの素材は燃やすと有毒ガスが発生するため焼却処理されずに廃棄されます。
事業を行うデベロッパーはその施設が役目を終えた時、最終処分場で埋め立てられているだけに過ぎないことを知らずにいます。
適切に処理され、再生されてまた生まれ変わっていると公言します。
この一連の例では、前者が熱帯雨林木材を使用したことが生産に関するトレーサビリティーから表れた問題と言えます。
後者が複合プラスチックの廃棄に関するトレーサビリティー上の問題であると捉えることができます。
これらのことの発生は無知が生む結果だということで間違いありません。
私たちは行動の前に、倫理を学び、環境についての知見を得ていなければなりません。