【景観維持性能】って何ですか?

ものには耐久性があります。
これはそのものがどの程度の時間使用できるかというものです。
一般的な消費財は10年となっています。
例えば、家電は10年を基準とし、一般認識もそのようになっています。
最近の車は長持ちする様にできていて長持ちする様になっていますが、一般認識としては10年ではないでしょうか。
木造住宅は30年と言われていましたが、現在は50年以上は持つ様です。
この様に、道具などにはどの程度の長さ使用可能なのかという度合いの尺度として耐久性があります。
耐久性は【使用可能】な年数のことを言います。

ところで、景観資材について見てみましょう。
景観資材の目的は【景観を良くする】という目的で設置されます。
であれば、景観資材の耐久性は景観を維持できる年数が耐久性となります。
まあ、しかし実際にはそうはなっていません。

プランターについて見てみましょう。
一般的に多く使用されるのはFRPのプランターです。
FRPとは、ガラス繊維などを混ぜ合わせたプラスチックのことをいいます。
プラスチックは強度が弱いので、繊維を入れて強化しているのです。
FRPはプラスチックの様に割れなくなったかというと、残念ながら割れます。
ヒビが入った箇所に繊維が残っているのでバラバラにはなりませんが。

このことは、繊維で強化した様々な素材でも同様なことが言えます。
例を挙げると、繊維で強化した石質素材もそうです。
セメント系の素材に繊維を混ぜ合わせたもの、粘土質に繊維を混ぜ合わせたものなどもそのうちに入ります。
これらの素材を使用した製品は、割れはしませんがクラックが入るのです。
クラックがはいった製品を景観をつくる必要性のあるところに設置したままにするでしょうか?

ここで出てくるのが景観維持性能です。
ヒビが入っても植物を植えるには問題がないので使用耐久性は維持しています。
しかし、景観を良くするための資材なのに、景観に悪影響を与えてしまうならばもはや景観維持性能はマイナスです。
多くの人は景観上大事な場所にクラックの入った製品を置いておきません。

この様に見ると、プランターの耐久性は景観維持性能に依存するということになるのです。
実際に、クラックの入ったプランターを、表通りに置いておくということはありません。(例外を除く)
多くの人は撤去しています。

この様にしてみると、繊維質性プランターの景観維持性能は10年もないのです。

さて、次に木製プランターはどうでしょうか?
木製品の場合、新しいのもよければ、古くなった姿もまた風情が出ます。
その様なことから見れば、木製の景観資材の耐久性は使用耐久性とほぼ一致すると言えます。
つまり、壊れるまでが使える年数となります。
ただ、一般的に木製品は耐久性が低いと思われがちです。
2、3年で壊れるというふうに多くの人は思っている様です。

木製品でも長持ちする製品はあります。
設計 → 使用 → 検証 → フィードバック
という製品改良を行なっていけば10年使用できる製品は出来るのです。
SITECの木製プランターは、
塗装の更新などのメンテナンスを行うことにより、使用耐久性および景観維持性能は10年です。

屋外用木部塗装色の検討

屋外用の木部塗装は、紫外線や水湿による木材の劣化を防ぐ役割を担います。
また、木質ならではの表情と質感を残す浸透性のステイン塗料はこれらの塗料の定番です。
”咲いてく”ではこれらの塗料として、環境に悪影響を与えないものを選んで使用しています。
もう20年前にはオイル性のステイン塗料が定番でしたが、環境に悪影響を与えるため殆どが水性や植物油性に置き換わっています。
全てが置き換わったとは言いません。オイル性ステインを使用していた人たちの中には環境を意識した製品は性能が低いという感覚を持った人たちは存在します。この人たちの話を聞くと皆、新しい概念の塗料を使用したことがないようです。
私も、環境型塗料がなかった頃にはステイン系塗料というとオイル性のものを使用していました。
ある物件でosmoという塗料の存在を知り、使ってみることにしました。第一印象はオイル性の塗料とは異なり、刺激臭が非常に少ないこと。粘性が強く塗りにくい。乾燥が非常に遅い。隠蔽性(木目を隠す度合い)は高い。ということでした。
その時期から遠からず、今度は水性のガードラック・アクアという塗料を使用しました。
これはステイン塗料とペンキの中間に感じました。ペンキは木目を塗りつ潰す隠蔽性が非常に高いのが普通です。このガードラック・アクアの隠蔽性はペンキほど強くはなく木目を少し残す仕様であると感じました。

それで、これらの塗料と以前に塗装したオイル性のステイン塗料とを経年後に較べてみました。
ステイン系塗料はオイルが乾くと木部の荒れが出てくるのに対し、植物油性や水性ステイン塗料はそれが現れません。
オイル性のステイン塗料は、木質保護をオイルの濡れにより行っているのです。ですから、オイル気が数年後になくなると木肌が荒れてしまうのです。防腐剤は入っている様ですが、防腐性能もこれに応じて小さくなっています。

これらのことを見ていくとオイル性のステイン塗料の性能は環境型塗料に優っているとは言い難いということが分かってきました。

現在使用してるのは、植物油性のosmo、植物油性のリボス自然塗料、そして水性のガードラックです。

この度、水性塗料のガードラックを標準色に加え、また、植物油性塗料の色数を増やしたいと検討を進めています。
色の面から見れば、ナチュラルカラーを増やしたいと考えています。
本来の木質の色合いを強く出せればと。
表面を透明のステインを塗布したままで着色はなしというものも揃えたい。
木材の表面塗料の役割には、紫外線緩和、木部表面の変色防止が含まれているのですが、あえて『風化』が出せないだろうかと。

検討している色見本を撮影しました。



晴天に撮影しましたが、ちょっと明るすぎます。
取り直しが必要です。

北海道GARDENに志向変化の兆候

ガーデニング・デベロップメント ”咲いてく”ではもう大分以前からGardenの考察をしています。
プロダクトとしてのWEBページばかりを発信していますが、本来はガーデン・デベロップメント(ガーデン開発者)との気概を持っています。

観光ガーデンや商業ガーデンを見て回ったり、植物の生長について研究したり。
観光ガーデンの造成業務に参加したり、商業ガーデンの管理に参加したり、行政ガーデンのオペレーション業務を体験したこともありました。
そこで必要と感じたもののスキリングを行い、ビジネスマネジメント、ホスピタリティー、造園、土木それぞれの施工管理技士、重機の操縦、安全管理などの資格も取りました。

なぜその様なことをしているかというと、自分の手でGARDENをつくりたいという気持ちが強かったからです。
その根本はやはり植物やGARDENが好きだからなのでしょうね。
そして、その中でお金を得るために行なっているのがGARDENに関するプロダクト・デザインと販売なのです。

さて、GARDENについていうと、好きだからという理由だけでGARDENをつくることは、ビジター・サービスとしては受け入れて貰えません。
有料の観光GARDENや、企業による商業GARDENは、それぞれに目的があり、経済活動に絡んでいるから、その目的に触れなければお金は稼ぐことはできないからです。
つまり、ガーデナーが他人の資金でGARDENを作るためには、企業の目的を理解した上でビジターが満足するサービスを提供しなければならいのです。
自由な動機づけだけで作るわけにはいかないのです。
しかし、日本においてのガーデナーは自己実現の手段だと考えている人が多く、ユーザー体験を考えている人はとても少ないのが残念です。

あっ、もちろんここで記していることは商業に関わるガーデンのことです。

この度の記事は、北海道GARDENの志向が変わってきたということを書きたかったのです。
北海道には有名なガーデンが10ヶ所前後あります。小規模なものや規模の小さなものはもう少し数は多いですが。
これらの有名なGARDENは、位置付けとして観光ガーデンです。入館料により成り立っています。
本来、入館料を徴収してGARDENを成り立たせるにはかなり厳しい状況にありました。
大人気のガーデンが一つか二つあるくらいで、それ以外は難しい運営状況だと聞いています。

北海道におけるGARDENで、早い段階で開発されたものの中にえこりん村の銀河庭園があります。
ここは運営元によると【テーマパーク】とされています。
えこりん村は、名前のとおり【エコロジー】を売りにしているのですね。
エコロジーというと現在はSDGsに代表される活動があります。
SDGsはMDGsを経て2015年に国連で採択されましたが、えこりん村の開園は2005年です。
ハンバーガーレストランとしての運営企業が、SDGsよりも以前にエコロジーを掲げて作ったテーマパークなのです。
えこりん村の園内にはフードロスを減らす再生プラントなども独自の設計により設置されています。

その中の銀河庭園は有料になっているのですが、来季2025年の営業から閉園し、【エコロジー】を広げるためのGARDENとして再出発するというアナウンスがありました。

このことは、日本におけるGARDENの全体的な位置付けが変わる予感がしています。
企業の社会的責任が問われる風潮がある時代に、GARDENが企業のイメージを表す役割を担うということが重要視されることになりそうだということです。