相対

はまなす

物理学の分野では相対性理論は画期的な発見であった。
絶対的な事象で物事を見ると、主体にとってはプラスであってもマイナスに見えることがある。
しかも、現実的な問題では、主体から見てどうであるかが問題で、絶対量には意味がない。
このことは社会における人間心理にも当てはまることだ。

例えば、兄弟において、
父親が、2人の兄弟を可愛がっている。
どちらも可愛がっているのだが、兄への愛情はより強く、第三者からの目で見てもそのように見える場合。
この場合、二人とも可愛がられているのだから、『二人とも幸せだと感じなければバチが当たる』といわれるのが日本の風習だろう。

しかし、そうはいかないのが人間心理である。
主体が一人きりだと気にならないことも、比較できるものがある場合はそれが基準となる。

企業の内部にもこのような人間関係は存在する。
報酬を受けて行われる業務においてということならば、社会人として分別をつければ解決すると考えられる。

しかし、分別がつけにくい場合もある。
財産や権限の譲渡などの場合には難しい。

100年 寝太郎

トレリス、クレマチス、木製

日本の寓話に百年寝太郎というのがある。
ろくすっぽ仕事もしないで寝てばかりの人のおはなしだ。

普通に考えて、100年は生きていた筈はないと考える。
あまりにも長い間 寝ていたことから大げさに100年としたのだろう。
こういう数字の使い方は日本人の洒落だ。
九十九里浜、千人浜など大げさな地名で表現する。
植物では千日紅、百日草など。
千年桜、千年杉なども怪しい。(本物もある)

さて、おそらく太郎は寝てばかりいたというよりも引きこもりだったのだろうと思う。
語弊があってはいけないので、ここでは憶測で書くと一応お断りしておく。
一般的に人々は日常のあれやこれやに押し迫られて、物事を考えて行動する余裕すらなくなりがちだ。
どのようにしたら豊かになれるのかをじっくり考えもせず、日常を優先させて本質を忘れる。
太郎はそんな社会の人々を客観的に見ていたのだろう。

元来は太郎も社会に出ていた若者だったと思う。
しかし、何かの拍子に引き篭った。
引き籠ってしまったとは言わない。
これも一つの多様性だ。

植物の種を播種すると、早く芽を出すやつと、まったく芽を出さないのもある。
早く芽を出すものは早く成長するのかと思いきや、日照りが続いて枯れてゆく。
日照りが終わり、雨が降ると暫くして殆どの種が芽を出す。ここに来て芽を出さない種もある。もともとダメな種か、或いは死んでいるのだろう。
芽を出した奴らはいいところまで成長した。もう大丈夫。いや、虫の群れが葉芽を食う。
壊滅だ。
長雨が続く。暫くすると、死んでいたと思われていた種の幾つかが芽を出してきた。
生きていたのだ。
地面は大量の水を吸収し、もう日照りが続いても乾燥しない。虫も去った。
植物にも種を持続させるための多様性があるのだ。

アリの世界では、休む暇もなく一生懸命に働く虫らばかりだと考えていた。
しかし、全く動かずじっとしている虫らも居るらしい。
自然現象の変化でアリの群れに危機が生じたとき、じっとしていた虫が動き出すという。
じっとしていた虫は危機管理班だったのだ。

その後、社会を俯瞰していた太郎は偉大な仕事を成して人々を救った。
環境変化によって自分の持っている力を発揮する人がいる。

モノの使う「期間」

業務用 プラスチック プランター

私たちの身の回りにあるモノにはそれぞれに使用期間がある。
普段は殆ど意識していない。
もっというと全く意識していない。

しかし、少しは想定しているものもあるかもしれない。

例えば耐久製品の代表で自動車がある。
新車を購入する場合、使用期限の目安は決めていると思う。

家はどうだろうか?
新築で立てるとしたら何年使うと考えるだろうか。

新築マンションを購入しようとして何年住むことを想定するだろう。

自動車では10年くらいか。
新築の家は30年くらい。
マンションで10年くらい。

家具はどれくらいなのだろう。
応接椅子は。
食卓テーブルは。
書斎の机は。
子供の学習机は。

これらはせいぜい10年くらいか。

屋外ではどうだろう。
物干し竿は、縁台は、ベンチは、植木鉢は、

家以外のものはだいたい10年くらいを想定していないだろうか。
私たちはモノを調達する場合、考えていないようでも無意識が働いている。

私は以前、業務で会う人々に耐久性の問いかけをした。
家の話はさておき、殆どの人の耐久性製品に求める試用期間は10年だった。
15年でもなければ、5年でもなく。
人によっては「ずっと!!」という超人的な理想を持っている人もいた。
極限値ということで統計から削除して考えたい。

高度成長期からバブル期にかけて優雅なモーターボートやヨットが流行った。
殆どは複合プラスチックのFRPで作られた船体だ。
作るのは簡単で安く上がったため大量に売れた。
しかし、殆どが一代限りで使うモノで、高齢になったり他界した場合に世に残る。
社会に与える影響の他に自然環境に与える悪影響を残すのだ。

私たちはモノを購入する場合、この無意識を意識化して考える必要がある。
使い終えて10年後にはどうするのか。
廃棄の方法はどうするのか。
次の世代の世に形が残ってしまって迷惑をかけないのか。

素材選びも大切だ。
私たちの先祖は木や自然物でモノをつくった。
遺していってもいつしか消えてなくなる。
私たちに迷惑は殆どなかった。

私たちの時代に使ったモノは