天然林と人工林

天然林の森林
日本の木材産地には、天然林と人工林があります。
それぞれ有名な産地としては、

天然林

青森県の青森檜葉林(ヒノキアスナロ林)
秋田県の秋田杉林
長野県の木曽檜林(ヒノキ林)

これらが天然林の三大美林と言われるところです。

人工林

静岡県の天龍杉林
奈良県の吉野杉林
三重県の尾鷲檜林(尾鷲ヒノキ林)

これれは人工林の三大美林と言われています。

この中のいくつかは聞いたことがあると思います。
木曽の檜“なんかは銘木の一級品なので、殆どの人は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

天然林と人工林の違いについて

天然林は、自然のままの植生を利用して、利用できそうな樹木を選んで伐採する択伐(たくばつ)という伐採方法をとっています。
自然のままの状態で、人間が利用する樹木の他に広葉樹や低木類が混合して存在します。
当然に、多くの生物が生存する自然そのものの森です。

一方、人工林は、一般的に利用目的の樹木を植樹するためにもともと茂っていた斜面一帯の樹木を伐採します。自然の守りを消し去った上で目的の樹木を植栽し、それ以外の樹木や草本などが生えるのを抑えるために定期的に刈払いを行います。
単一の樹々の森が出来上がります。
植栽を行った後の30年〜50年後に全ての樹を伐採して斜面を丸裸にした後、再び幼木を植樹する皆伐(かいばつ)を繰り返します。
この目的は、効率よく樹木が育つ様にしたり、効率よく一連の伐採作業を行える様にするものです。

天然林・人工林それぞれの特徴について

天然林の森は、自然の森ですので生物多様性に優れます
広葉樹も多く生息しているため、多くのバイオマスを含んだ用土が堆積して多くの微生物が生息しています。
生産する木材は均一とは言えません。
基本自然の樹木ですので枝が多く大きな節が目立ちます。
著名な木曽檜の木材には大きな節があるのはこのためです。

一方、人工林は目指すのがひとつの種類の樹木である単一林です。
単一林は樹林内の土が偏ります。
バイオマスを含んだ用土は限られ土壌の微生物も少なくなるのは必然です。
水分を保てない土壌は豪雨などの際に一気に下流域へ流れ出し、土砂災害などを引き起こすこともあります。
また、偏った生物が棲みつき結局樹木に危害を与えます。
ネズミの被害は大きく、阻止するために殺鼠剤を撒いたりする行為はさらに複雑に生物多様性に影響を及ぼします。

生産する樹木は植える時期が一定で、単一品種であるため生長が均一です。
商品としての木材は安定した価格が見込まれるということはあるようです。
立派な吉野杉や尾鷲檜には無節が多く、四方柾と言われる銘木の産地であるのはこの様なことも関係しているのです。

さて、皆様はどちらの樹木を選ぶでしょうか?

Biotopについて

ビオトープキスゲ

Biotopというワードを時々耳にします。
あいまいさや誤解が多い用語になっています。
本記事はBiotopついて記載致します。

Biotop とは野生の生物空間を指すドイツ語を起源としたワードです。
日本では作られた生物空間を指したり、作られた池を指すことが多いのですがそれは本来の意味とは異なります。
これは人工的に生物空間を模した空間を作った事例から、それがそのものだと思い込んでしまった人が紹介したからでしょう。

Biotop つまり野生生物空間は、生産者としての植物、消費者としての動物・昆虫、そして分解者の微生物などが相互の働きを循環させて存在します。
例えば、森林には樹木が目立ちますが、樹木や草などの植物には昆虫をはじめとした虫などが生息し、それよりも大きめな両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類も生存しています。水辺には湿地植物や水生植物に魚類が棲みついていることもあります。
樹木や草などの足元には土壌があり、目に見えなくとも膨大な数の微生物やカビなども生き続けています。
このようなものがBiotopの一つです。
海洋や極地にも様々なBiotop が存在しています。

SDGsなどの環境目標などを見ると生物多様性という項目があり、そのポリシーはビオトープの維持に他なりません。

余談になりますが、人工的につくられた空間であっても、自然化し持続的に再生するものはBiotop と呼んでも誰も異論は唱えないでしょう。

ASOBIO(あそびお)

生物多様性 ビオトープ

最近、園庭ビオトープというものが注目を浴びています。

園庭とは幼稚園や保育園の庭のことなのですが、そこにビオトープを作ったというものです。

日本でビオトープというと、水辺やとんぼ池を思い起こす人が多いということなので少し補足します。
ビオトープ(Biotop)とは、元はドイツ語で野生生物の空間という意味です。

最近は脱炭素でいうバイオマス(Biomas)のバイオ(Bio)と同じで生物を表すものとなります。
生物学(Biology)はお馴染みですね。

そしてASOBIOとは、遊びとビオトープを合わせた造語で、園地を改造したものだそうです。
ある園では、真っ平らなグランドに小山や起伏をつくったり、雑木を植え草花や雑草を生やしたり、流れを作って自然風にしたりと工夫しています。
別に巣箱や虫を放さなくとも小鳥や虫が増えるそうです。(増やしたいポリシー)
造園やガーデンよりも自由度が大きいです。
子供たちは大喜びで、先生たちの指導のもとに観察をするのが楽しみになっているとのことです。
それでも土のない都会の園ではプランターを設置して手軽にASOBIOをつくることもあるとのことです。

SITECではASOBIOにも最適な木製プランターをご用意しています。
もちろん、それは『Bio素材』で作られています。

ビオトープ計画管理士